hideの使用機材
メンバー全員が派手なメイクと髪型でしたが、特にリーダーであるドラム/ピアノのYOSHIKIとは別の方向性でその存在感を放ち、X JAPAN最後期にはシンプルになっていた他メンバーのヴィジュアルとは裏腹に、最後まで独特のヴィジュアルと存在感があったhide。
作曲面でも比類無きポップセンスで、YOSHIKIの世界観を表現したドロドロとしたXのアルバムの中で、ポップなアクセントになっていたと思います。そしてソロでは更にそれが伸び伸びと表現され、HR/HM、パンク、インダストリアル、ポップス、歌謡曲、グランジ等を混ぜ、ミクスチャーとして表現された独特な作風でした。
惜しくも98年に他界してしまいましたが、さまざまな音楽を吸収、消化し、自身のポップセンスで纏め上げたhideの功績は大きいと思います。
そんな彼の機材に迫ってみたいと思います。
hideはかなり大掛かりなラックシステムを組んでいました。
GUITAR
FERNANDES MG-X
海外だとエアロスミスのジョー・ペリー、ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュなどが使用しているが、日本においてモッキンバード=hideな位、モッキンバードは彼の代名詞となっている。元々はB.C.RICH社のギターだが、フェルナンデスがコピーモデルを製作し、hideが初めて購入したMGもFERNANDESのものである。
年代ごとにスペックや色は変わっていったが、愛用していたMG-X自体はさほど多くはない。
有名かつ代表的なものを。
FERNANDES MG-X “PSYCHE”
- Xのセカンドアルバム「Jealousy」の頃から93~4年ごろまで長く使用していた、通称「サイケ」。
hide自身がペイントした物。
本人の物は材がモンキーポッド、PUはフロントがディマジオ・デュアルサウンド、リアがEMG。
低音弦の張りを強くするために6~4弦だけ裏通しの加工がしてあった。さらに、ダイレクトスイッチを搭載。ヴォリュームやトーンに左右されず、一気にフル10状態のヴォリュームにできる。
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Burny MG-X”YELLOW HEART”
"X JAPAN" "DAHLIA"から"Yoshiki-ドラム破壊"まで HD高画質 【THE LAST LIVE】 - X JAPAN最後期のメイン・ギター。通称「イエローハート」。
- hideと言えばこの色のギターに馴染みのある人も多いだろう。
- ロリロリのギターでゲロゲロのリフを弾く、というのがコンセプトだったそう。
- ネックはVシェイプでホンジュラスマホガニー、指板はローズウッド。ボディはトップがメイプル、裏はホンジュラスマホガニーと、レスポールを意識したスペックになっている。
- フロントはフェルナンデス・サスティナー。スイッチを入れると電池が切れるか自身でスイッチを切らない限りサステインが続くというもの。リアはディマジオ・スーパーディストーション。
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Burny MG-X “Lemon Drop”
レスポールとモッキンバードを掛け合わせるという企画の二号機。一号機はレモン・ドロップカラー。
こちらのほうがメインになった。94-96年に使用。イエローハートや基盤など、1号機が出来てからのhideモデルは全てこのスペックをベースに製作されている。
そのため、基本的にはスペックはイエローハートと同様。リアのみVH-401というフェルナンデスが製作したPUが載っている。
他にもデビュー時に使用していたアメーバと言われるモデル、テレビ用のアクリル製モデル、ブラックカラーやホワイト、レッド、ピンク、オレンジなどのバリエーションがあった。
現在、レギュラーラインで最もhide本人の仕様に近い物はレモンドロップのモッキンバードであり、このタイプのみメイプルトップ/マホガニーバックとなっている。そのほかの物は特注ライン以外はすべてこのスペックではない。
Gibson Les Paul Standard’59
59年製のギブソン・レスポール・スタンダード。経年変化でレモンドロップというカラーになっている。
X JAPAN時代の盟友、PATAがメインで使用していたレスポールスタンダードとナンバーが数番違い。
「高いとは聞いていたけど、ここまでだと思わなかった」とhide談。現在は物によるが保存状態次第では家が買えるほど。ちなみに、前の持ち主はモトリー・クルーのミック・マーズだったそう。
hideのその後の方向性を決めたギターであり、前述のようにこのギターとモッキンバードを掛け合わせたモデルを製作している。レコーディングでほぼ使用。
FERNANDES JG-CUSTOM
- フェルナンデス製のジャガー。ソロツアーや「ROCKET DIVE」のPVで使用していた。
- ヴァン・ヘイレンをイメージした電飾が施されており、シールドを挿すと光る。
FERNANDES H-65
布袋寅泰も使用していた「シャチ」と呼ばれるモデル。
94年のソロツアーで使用。シェイプが気に入ったらしく、PUを交換して使用していた。後にこのシェイプを基にコリーナ材で製作した「クジラ」と呼ばれるモデルを製作、レコーディングで使用していた。
MARTIN D-18
マーティンのアコースティックギター。自宅で曲を作る際に使用していたそう。hideが逝去した際、天国でもギターが弾けるようにと共に荼毘に付された。
他にもフェンダー・ストラトキャスター・ジェフ・ベックモデル、インディーズ時代にはフライングV、ワーロック(ペイント途中)などを使用していた。
AMP
・BLUE BLOOD期
・Marshall JMP
・Roland JCー120
初期はマーシャルとJC-120をクリーン用にセット。
・DAHLI A TOUR時
VHT Classic
パワーアンプ。
後述のSAVAGEとは違う、もう一種類の歪みに使用。
HIWATT Custom Hiwatt 100
クリーントーン用にセット。
ENGL SAVAGE 120
後期hideサウンドの要として愛用していたENGLのSAVAGE。
パワーアンプとして使用。
SANS AMP PSA-1
プリアンプとしてラックに入っている。
スピーカーはHIWATT等。
EFFECTER
あまりに多いため、後期と代表的なものを。
BOSS OD-1
伝説的なオーバードライブ。恐らくは初期型で、ブースターとしての使用。
ROCKTRON RAMPAGE
ディストーション。
VOX WAH PEDAL
定番のVOX WAH。Rusty Nailのソロなど使用。
2個用意されており、ギターテックが操作する場合と、hide自身が操作する場合がある。
DIGITECH WHAMMY2
これもhideサウンドを構築するのに欠かせない。音程を変化させるエフェクター。
X JAPAN後期に多用。
DIGITECH DHP-33
ラック式のハーモナイザー。クロマチック、スケーリック、カスタム・ハーモニー、コーダル、アルペジエイトの5つのモードがある。
t.c electronic 1210
ラック式のコーラス/フランジャー。
ROCKTRON BLOODSHOW FOOT CONTROLLER
フットコントローラー。エフェクトを操作する。ギターテクニシャンが操作。
KORG G2
エレアコ用のエフェクター。12弦ギターのサウンドの再現に使用。
EAT Distributer
KORG DTー1PRO
ex-pro wireless
ワールワインド・ABボックス
ワイヤレスの切り替え用。
Digitech TS-12
マルチエフェクター。
MXR FLANGER
MXR PHASE100
Digitech RP-5
クリーンの音作りで使用。
Macky Mixer CR-1604
ミキサー
PALMER PD-05
スピーカーシミュレーター
Digitech GSP2101
プリアンプ
T.C electronic TC1210
上述。
Rocktron Patchmate Bloodshow system
Pro Hush
ノイズリダクション
正直、機材が古いこともあって同じものを揃えるのは難しいだろう。ラックも持ち運びには適さない。(車等があるなら別だが)
これはROCKET DIVEのレコーディング&エディット中のスタジオでの一コマ。
その右上、青っぽいのは恐らく同じくelecrtro harmonixのDeluxe Memory Man Tap Tempo。アナログディレイにタップテンポ機能を付けたもの。
その下は不明。ROCKTRON RAMPAGEにも見えるが微妙に違う気もする。
ENGLのプリアンプとSuper Distortionの載ったギター、そしてPODやBOSSのGTシリーズなど、マルチエフェクターを使用するのも手。
事実、現在X JAPANでhideパートを担当しているSUGIZOも、小規模のライブハウスを廻るXのワールドツアーではラックシステムではなくGT-10ですべて音作りをしているという。