カート・コバーンの機材(アンプ・エフェクター編)
ギター編はこちら
再現するなら
ギター編でも紹介しましたが、カートサウンドをマネしたければ、ハムバッカーのギター、コーラス、ディストーションが最低限、必要でしょう。
レコーディングは色々なペダルを試していたそうですが、ツアーではほぼ固定。セッティングは後述。
「NEVERMIND TOUR」時
・BOSS DS-1(ディストーション)
・Electro-Harmonix Small Clone(コーラス)
「IN UTERO TOUR」時
・BOSS DS-2(ディストーション)
・SANS AMP Classic Tech21(アンプシミュレーターだがカートはディストーションとして使用)
・Electro-Harmonix Poly Chorus(コーラス/フランジャー)
・Electro-Harmonix Small Clone(コーラス)
接続順は
ギター→DS-2→TECH 21→Poly Chorus→Small Clone→アンプ。
あとはフランジャーやフェイザーを曲に応じて、といったところか。アンプはカート自身はメサブギーを愛用していたようだが、正直、あまり拘らなくても良いかもしれない(DS-1やDS-2の音が特徴的なため)。
慣れれば問題ないでしょうが、カートのサウンドは音色丸ごと変えるというよりかは、曲中で特定のペダルをオン・オフで切り替える、という手法を多用するため、パッチごとに音色を作るタイプのマルチエフェクターやスイッチャーは逆に手間がかかります。
カートに限らず、当時のオルタナ・グランジミュージシャンにはアンプを買うお金がなく、エフェクターで音作りをして、どのアンプでも同じ音が出せるようにしたという話もあります。
同じような理由で、当時あまり人気がなかったムスタングやジャガー、ジャズマスターなどを使ったという話も一説にはあるので、そういったところからオリジナリティとして確立されたのが特徴的。
AMP
・Mesa/Boogie Studio 22 Preamp & Crown 800W Power Amp
同機種ではないが近いものを。
メジャー1stアルバム「NEVERMIND」の頃に手に入れ、レコーディング及びツアーで使用されたメサブギーのstudio22。
クラウンのパワーアンプはすぐに故障したらしく、その後 Crest 4801 power ampを使用していた。
イン・ユーテロの頃もこのアンプセットを使用(キャビは途中でピーヴィーからマーシャルに変わった)していたそうで、カートを語る上で欠かせないメインアンプと言える。動画はコンボアンプだが、カートはヘッドアンプバージョンを使用。
・Randall RG120PH
ランドールのトランジスタ・アンプヘッド。NIRVANAの1stアルバム「BLEACH」の頃に入手したが、レコーディングでは使われなかった模様。ツアーでは使用。
・Fender Twin Reverb 60’s
こちらも「BLEACH」のレコーディングで使用。プロデューサーの所有していたものだとか。
後に「In Utero」のレコーディングや「MTV Unplugged」の際にも使用されたそうだが、これと同じものなのか、別のツインリバーブなのかは不明。
・Fender Bassman AB165
「NEVERMIND」のスタジオセッションで使用。
・Peavey Combo Amp
カートが初めて買ったとされるギターアンプ。
後にベーシストのクリスに譲ったそう。
・Marshall JMP 50
カート自身はマーシャルを好きではなかったようだが、未発表曲である「you know you are right」のレコーディングで50Wのアンプを使用したとのこと。
キャビネットは初期はPeaveyの4×12スピーカーのもの、後にロゴを隠したマーシャルのキャビネットを使用。
EFFECTOR
基本的にはシンプルなエフェクト類でまとめられている。
・BOSS DS-1
カートサウンドの要とも言える王道のディストーション。
日本製の、所謂「銀ネジ」のDS-1。92年ごろまでライブ、レコーディングで使用していた。
現行は台湾製であり、当時の日本製の物とは微妙に音が異なるが、あくまでも細かく(当時と現行で使用されているパーツの違いなど)捉えた場合の話であり音が全く異なっており代用できないということはない。(同機種なので当然だが)
セッティングはDIST,LEVELが10、TONEが4。
・Electro-Harmonix Small Clone Chorus
カートの使用によって世界的に有名になったエレハモのコーラス。90年ごろ購入したようで、それからはいつも足元にあった。
セッティングはDEPTHが上、RATEは11時くらい。
このペダルの特徴とも言えるエグいコーラスがかかり、「Smells like teen spirit」や「Come As You Are」のあのコーラスサウンドが出せる。
カートサウンドには必須だろう。
通常のAC電源は使えず、変換が必要となる。
現在は軽量、小型化し、通常のAC電源も使用できるNEO CLONEやNANO CLONEがあるが、NEO CLONEはDEPTHの設定も可能となっているため、使い勝手が良いスモールクローンと言える。
・BOSS DS-2
92年にDS-1を壊してしまったため、別の日本製の物を探し求めるが見つからず、代わりに購入(新たなDS-1を所有したが使用しなかった説、クリスに譲渡した説もある)。
セッティングはTURBOが1、LEVELはMAX、TONEは11時、たまに1時。DISTとLEVELをMAXにし、ノイズが酷い時やスタジオでは曲によってDISTは1時か2時の位置。
こちらもカートは日本製を使用しており、現行は台湾製。
・Sans Amp Classic Tech21
本来はマルチエフェクター/アンプシミュレーターなのだが、カートはディストーションとして使用。イン・ユーテロツアーでは「イン・ユーテロの曲はTech21、DS-2はネヴァーマインドの曲」という風にDS-2と使い分けていた。
セッティングは、カートの設定では3種類のインプットはNormal、4つあるコントロールつまみの Presence、Output、Amp Driveはフル。Highは10時から11時。
・Electro-Harmonix Poly Chorus
フランジャーにecho flangersという機材を使用していたが、あまり調子が良くなく、ほとんどこちらのPoly Chorusを使用していた。ロータリースピーカーの効果を得られるコーラス/フランジャーなのだが、設定によってはフェイザーのようにかけることもできた。
現行はステレオ版だが、カートの物はアナログ。高価なので、コーラスのRATEをフルにして代用するのも可。Heart-Shaped Boxのギターソロで使用されているのが特徴的。
セッティングはFEEDBACK RATEが4、WIDTHが10、TUNEが2。
・proco RAT
ディストーション。カートの使用で有名だが、DS-1と音の系統が同じであり、あまり使用はしていなかった模様。
レコーディングでは「NEVERMIND」の「Territorial Pissings」で使用している。
・Electro-Harmonix Big Muff Pi
グランジ、オルタナのミュージシャンを中心に、ジミ・ヘンドリックスなどにも愛されたファズ。
カートは「Lithium」のレコーディングで使用。
Other Effector
他にもMXRのフェイザー M107やIbanez Supermetal、ARIONのStage Tuner HU-8500を使用したそうだが、上述のエフェクターほど頻度は高くなかったと思われる。
弦
ディーンマークレーの10-52。
ピック
ダンロップのtortex 0.6mm。
ストラップ
アーニーボールが多かった。
まとめ
カート・コバーンのアンプ・エフェクターをご紹介しました。
シンプルながら、Small Cloneなどはまさにカートの代名詞とも言えるサウンドで、いまだに世界中に愛用者が多い品です。
最低でもDS-1とSmall Cloneさえ揃えればほとんど似せることができるため、初心者にもうってつけ。
カートが未だに世界中のギタリストに影響を与えている理由として、簡単でコピーはしやすいものの奥が深いギターワーク、
ごく少数ながらカートサウンドと一発でわかるほどの個性が挙げられるのではないでしょうか。
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